幼児教育・保育の無償化による認定区分の変更とそれぞれの区分の違い

幼児教育や保育に関する無償化の制度は、2019年10月から始まっており、子育て世帯の経済的負担軽減を目的に実施されています。

この制度では、通常の1号・2号・3号認定に加えて、新たに「新1号・新2号・新3号認定」という施設等利用給付認定が導入されており、利用する施設や保護者の就労状況によって適切な認定を受ける必要があります。

無償化に伴う認定区分

子ども・子育て支援新制度における基本的な認定区分は、子どもの年齢と保育の必要性によって3つに分類されます。

  • 「1号認定」は満3歳以上の子どもであって“保育の必要性がない”場合に適用され、主に幼稚園や認定こども園の幼稚園機能を利用する際に必要となります。この区分の認定では、教育標準時間としておおむね4時間程度の利用が想定されていて、延長保育や預かり保育を利用する場合は別途手続きが必要です。
  • 「2号認定」は満3歳以上で“保育の必要性がある”子どもが対象となり、保育園や認定こども園の保育所機能を利用可能。保育の必要量に応じて「保育標準時間(最大11時間)」と「保育短時間(最大8時間)」に区分され、保護者の就労状況等によって決定されます。
  • 「3号認定」は、満3歳未満で“保育の必要性がある”子どもが対象で、2号認定と同様の施設に加えて地域型保育事業(小規模保育園等)も利用可能です。

これらは、子ども・子育て支援新制度に対応した幼稚園、認定こども園や認可保育所などを利用する際に市町村から受けることとなります。

施設等利用給付に係る新制度上の認定区分

無償化制度の導入に伴って、新たに施設等利用給付認定という制度が設けられました。
これらは新制度への移行がされていない幼稚園や認可外保育施設等を利用する場合に必要となる認定です。同制度に基づく認定区分を紹介します。

  • 「新1号認定」とは、満3歳以上の子どもについて、子ども・子育て支援新制度に移行していない私学助成を受ける幼稚園を利用する場合に必要となる認定です。“保育の必要性がない”場合でも認定を受けられます。
  • 「新2号認定」は満3歳以上で保育の“必要性がある”子どもが幼稚園の預かり保育や認可外保育施設等を利用する場合の認定区分です。預かり保育などの利用料について一定の上限のもと払い戻しを受ける形で利用料が無償化されます。
  • 「新3号認定」は満3歳未満の住民税非課税世帯の子どもが対象で、新2号同様、預かり保育にかかる利用料などが無償化されます。

認定区分変更の注意点

保護者の就労状況や世帯の変化に応じて認定区分の変更を行うケースもあります。

たとえば1号認定から2号認定への変更は、専業主婦(主夫)が就労を開始する際に行う手続きです。この変更によって幼稚園の預かり保育に対する補助金を受給できるようになります。

なお、認定区分の変更にあたっては、いくつか注意点があります。1つは、「必要書類がすべて受理された日からの認定となるため、申請日より遡っての認定ができない」という点です。

また、「世帯状況や課税状況の変更により要件を満たさなくなった場合、認定が変更される」という点にも注意してください。一度認定を受けたからといってその後ずっと継続されるとは限りません。たとえば、新3号認定を受けていた世帯が市民税非課税世帯に該当しなくなった場合は無償化の対象から外れる可能性があります。保護者の経済的負担にも直接影響するため、認定の仕組みについて理解し、よく現況を確認する必要があります。

地域差もあるため要注意

おおむね全国的に同様の制度が運用されているものの、細かいルールについては地域による差がみられるケースもありますので、何か手続きを行う際は各自治体の窓口にてよく確認しておくようにしてください。

たとえば認定に関わる重大な要素である“保育の必要性”について、大枠では国が統一的な基準を設けており、どの地域でも就労・就職活動・妊娠・出産・疾病・障害・介護・災害・就学・虐待などが主要な事由として認められています。ただ、各事由の具体的な認定基準に着目してみると、たとえば就労を理由とするとき「月○○時間以上の就労」などと定められることが考えられますが、その設定される時間には地域差も現れます。

また、無償化の制度それ自体は全国で運用されているものの、ある保育サービスに関しての無償化の上限額、手続きに関して若干の違い生じることもあります。